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「どうして萩に帰ってきたの?」と訊ねられたときのはなし

2020.07.29

こんにちは、萩ドットライフ()です。

東京を離れて山口県萩市に移住する理由なんて、ずっと考え続けてきたはずなのですが、いざ面と向かって訊ねられると、思いもよらない返事をしてしまうものなのですね。そしてそれが自分の気持ちをピタっと言い表していたりして、胸を衝かれるのです。

「どうして萩に帰ってきたの?」

扱いの大小は謎だけれども、このあとの世界史の教科書で必ず扱われることになる時代を僕たちは過ごしているのだろうと思います。

緊急事態宣言が出され「用もないのに外出しちゃダメだ」「出かけるときにはマスクをしろ」と言われたり、複数人で集まって飲み会やっちゃダメだし、会社にも出勤するななんて言われた時代なんて、これまでになかったんじゃないでしょうかね。

多くの人々が行動を止める変わりに、自分たちのこれまでやってきたことだったり、これから進もうとしている道筋のことを考え直すきっかけとなりましたよね。

新型コロナ禍によって、進めていた計画が頓挫してしまった方もいれば、起きつつあった変化を後押ししてもらった方もおられることでしょう。

そんな中、僕は淡々と山口県萩市への移住計画を進めてきました。
(参考:山口県萩市への移住準備が、着々と進んでいます

「after コロナ、with コロナの世界を生き抜くために、地方移住してリモートワーカーとして生きていこう」などと考えたワケではありません。

新型コロナ禍になる前から、数年がかりで計画していたことなのです。
そもそも僕の移住計画は、無職になることからはじめましたからね。

だから誰かに「山口県の萩市ってところに移住するんですよ」と伝えたときに「こういう時期ですもんね。あなたのような選択をする人、増えてくるんでしょうね」などという反応があると、ちょっとモヤっとするのです。

1年以上前に「[フリーランスの老後]萩市に移住する理由」という記事を投稿しています。

いま読返してみると「へぇ、そんなこと考えてたのか」と思うこともあれば、「そうそう、今でも似たようなことを考えてる」という部分もあります。

こないだ「都道府県をまたぐ移動の自粛」が解除されたあとに半月ほど萩市に滞在して、もろもろの移住準備をしてきたのですが、そのときに僕が萩にいることを同級生に見つかり、飲み会が催されたのですよ。

萩にいるときに、ときどき利用しているスナックのママから言われたのが「どうして萩に帰ってきたの?」なのです。

誤解なきように付け足しておけば、これには決して「この新型コロナ禍の中、どうして(危険な)東京から(安全な)萩へやってきたの?」という、非難を含んだニュアンスではありません。

その前に「二拠点生活はやめたよ。萩に家を買ったよ。そこに住み着くことにしたよ。東京のマンション売ったよ」みたいな話をしてますから。

「ダラけた田舎のオッサンになりたいんだよ」

「まだ、帰ってきてはないよ。もう1回東京に戻って、それから引越しだよ」と事実関係を訂正しようかと思ったり、「へえ、40年近く東京に住んでたのに、まだ『帰る』という表現で迎えられるんだね」みたく緒的な切り口で話を膨らませようかと思った挙げ句、思わず口から出たのは、

「ダラけた田舎のオッサンになりたいんだよ」

でした。

このブログでさんざん自己分析しつつ、

  • 古民家で暮らしながら、セルフリノベーションをやりたい
  • 両親が高齢なので、何かあったときにサポートできる位置にいたい
  • 風通しの良い場所、見晴らしのいいところで暮らしたい
  • おそらく田舎暮らしに挑める最後の年代だから

みたいなことを書いてきたのですが、いざ面と向かって素朴な疑問として問われると、こんな返しをしちゃうもんなんですよね。

我ながら意外でもあり、なかなか的を射た返答だったと思います。
スナックのカウンターなんて、具体的な「あれやりたい、これやりたい」を語る場所じゃありませんからね。酔っ払ってるから、細々とした話なんて避けたいし。

自分でも、どこかしらで「クルっと丸めると、理屈じゃないな」なんて意識はあるのですよ。
これまで生きてきた中でこしらえてきた、思想とか美学みたいなものに裏打ちされた行動なのであって、あくまでも自分用に偏った判断をしているだけなのですからね。

実際の引越しは、来月(2020年8月)17日。
転入届は、たぶん2・3日のうちに出すことになるのかな?

その辺りで正式に萩市民になります。

しばらくは他人に訊ねられるたびに「ダラけた田舎のオッサンにるために帰ってきた」ということにしようと思います。

「それってどういうこと? 面白そう。時間作ってちゃんと聞かせて」という人が現れたり、僕なりに「この人には、きちんと説明しとかないとな」という人には、具体的なやりたいこと、なりたいこと、そう考えるようになった経緯などとを伝える場面は、当然設けようと思いますけどね。

みんなが楽しい方向へ向かえば、それでいいのです

奇しくも新型コロナ禍というインシデントと並行して、地方移住という行動をしています。
それまでの経緯を知らない人が「この変化に対応してるんだな」と感じることは、無理もないことだと感じます。

でも、そんなんじゃないのですよ。
たまたまなのです。

でも「仕事をするのに、みんなで同じ場所にいる必要ないよね」とか「みんなが東京に集まってるとヤバいんじゃない。なんか災害くるよ」みたいな感じって、新型コロナ禍の前からみんな思ってましたよね。

すでに起こりつつあった変化なのですよ。

10年近く前に「ノマドワーカー」なんて働き方が、もてはやされたり揶揄されたりしながら、人々の口にのぼっていた時代がありました。

いつの時代にも「好きなように働きゃいいし、好きなように暮せばいいじゃん」みたいな考え方はあるものなのですよ。

バブル期に発生した「フリーター」なんてのもそうですよね。

その前は「脱サラ」みたいな言葉がもてはやされていましたよね。現在50代半ばの僕が子供時代に知っていましたから、そうとう昔からある言葉なのでしょう。

僕がフリーランスになったのは20数年前ですが、そのときもやはり「好きなように働きゃいいし、好きなように暮せばいいじゃん」みたいなことを考えていましたしね。

いつの時代もずっと「テストの点数を多く取れる人。足の速い人。歌や絵の上手な人」を求める世界から、ちょっとだけ軸をズラして「こうしたら楽しいのに」「もっと夢中になれるのに」みたいなところを探してる人々はいるのですよ。

今こういう時代なので、みんなが「もう東京にいる必要はない。地方へ」と口々に言っています。生活の中から少しでも「密」を減らしたいからなのですよね。

たまたま僕が「ダラけた田舎のオッサンになる」ために進めていた行動とリンクしてしまったのです。

ところで東京を離れて地方移住する人は、ほんとうに増えるんでしょうかね?
「ノマド、ノマド」言ってたときに、本当にノマドワーカーになった人は何人いました?

今回は政府も経済界も両方とも「リモートワーク(テレワーク)」とか「ワーケーション」みたいなことを言っているので、実現性は高いんでしょうかね?

実際は「もう何年か経ってみないとわからない」ってところなんでしょうけどね。

でも「自然に囲まれてリモートワークするぞ」な人も、「ダラけた田舎のオッサン・オバサン志望」な人も、これをきっかけに新しい文化を生み出せればいいなあと思うのです。

新型コロナ禍をきっかけに「みんながちょっとだけ変わってきたな」ってなると楽しいだろうなと思うのです。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。