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「高い」「安い」を口にするとき

2018.08.21

こんにちは、萩ドットライフ()です。

生活の中でもビジネスにおいてでも「高い」「安い」ってよく使う言葉ですよね。僕はデザイナーという、カタチのない商品を販売している業者なのですが、頭ごなしに「高い」って言われると、「え、何と比べてですか?」と言いたくなること、よくあります。

言葉の意味を考えずに「高い安い」言ってるかもですね

先日投稿した記事「地方の人って、地方の人同士で仕事するのをイヤがってない?」で、僕はサラッと

移住した地(僕の場合は山口県萩市)で、新しくビジネスを始めると、まずは単価の違いが壁になると思うのですね。

って書いちゃったんですね。
「都会の仕事は高い。地方の仕事は安い」という先入観があるからそう書いたわけで、エビデンスがあるわけじゃありません。あくまでも、デザインやWeb制作という、僕が関わってる業界の中で感じている、なんとなくの印象なんです。

「高い、安い」というのも、実は曖昧な表現だと思うのですね。そもそもは相対評価をするときに使うワードですよね。
「A商品はB商品と比較して高い」みたいな。それも、比較対象としてフェアであることが前提ですね。

ところが現実は、
「○○レストランでご飯を食べようか」「あそこは高いから他にしよう」
みたいな使い方をすることが多いんじゃないですかね?
これは、他の飲食店と比べてこう言う場合もあるのでしょうが、そうではない意味で使ってると思うのですよ。

  • 自分の所得で利用するには高い
  • あなたと時間を過ごすために使うには高い

「その商品、サービスを利用する対価を支払いたくない」という意味で「高い」ということが多いですよね。

また「あそこの店は安い」って言いますね。
これ、往々にして「同等品が他の店よりも安い価格で売られてる」よりも「安いものが取り揃えられてる」場合が多くありませんか?
もはや、2つのモノやサービスを公平に比較するということが前提であるなんて、誰も考えずに「高い、安い」言ってるように感じるのです。

知識不足に由来することも多いと思うのです

例えば僕のようなWebデザイナーの場合、Webやネットに関する知識が全くない方から発注をいただくことが、考えられるのです。
相手がシロートさんの場合、2つのケースを想定しますよね。
もちろん慣れた業者は、上手い見積もり体系を作っていたり、事前に押さえどころを書面で交わしていたりするのかもしれませんが、あくまでも通常、宣伝広告部門を持つ会社や、実績のある広告代理店・プロダクション経由の案件ばかりを請けている、フリーランスの僕が、突発的に地方の中小企業からの発注を請けたような場合を想定しています。

  • 「自分はシロートなんだから」と居直って、次々と無理難題を押し付けてくるケース
  • 「自分はシロートなんだから」と、こちらの提案をなんでも受け入れてくれるケース

大体の場合、前者の場合でも人的コストをカバーできるように見積もると思うのです。
それでも、前者は「あれもこれも」と後から後から要求を追加してくることは珍しいことではありません。「別料金が発生します」と言っても「事前にそんな説明なかった」「○○会社のホームページみたいに、普通はついてる」「こちらはシロートなんだから、そんな難しいことはわかりませんよ」と。
取れるコストよりも、説明して納得してもらうコストの方が低いと感じた場合や、はやく公開にこぎつけてひと幕下ろしたい場合「承知しました、今回は当方の説明不足もありましたので、無償にて対応いたします」ってことも皆無ではないのです。
「金取れないけど、チャッチャと済ますか」って精神状態になってますからね。

とするとですね、後者の「『自分はシロートなんだから』と、こちらの提案をなんでも受け入れてくれる」発注者との価格の整合性が取れなくなるのです。
前者は「安い」し、後者は「高い」のです。
「あそこは安い」「あそこは高い」両方の評判が立つことになるんですね。それに至る経緯なんて誰も気にしません。

相場感もクセモノな気がしますよね

冒頭に書いたように「都会の仕事は高い。地方の仕事は安い」は、僕の先入観ですから置いとくとして、東京ならば東京の中でも、相場感って細分化されてる気がするのです。
「東京だとどのくらい?」って聞かれたときに僕が答える数値は、僕が所属しているコミュニティの相場であり、僕が受注しているクライアントの業種だったり規模だったりに由来する相場を答えているに過ぎないのですね。

僕の場合はフリーランスですから、単価の話をすると「いいな〜」と言われることが多いのです。だって、対事務所の価格を個人で扱ってるのですから。
そして重要なのは「あなたフリーだからこのくらいね」と言われるポジションから逃げることに成功しているからなのです。
逆に、某大手広告代理店の方が「この中から、どうやって利益ひねり出せってんでしょうね」ってブツブツ言ってたのも聞いたことがあります。

「高い、安い」を言うときに「相場感」という言葉を使う人も多いですが、結局、自分の望む「相場感」を相手に受け入れさせようとしているだけなのですね。
モノやサービスの対価に関する評価について、自分が売る側のときには、安い場所から逃げ回る努力と、高い場所に居続ける努力を同時にし続けるべきでしょうね。
逆に、自分が買う立場にいるときには、相手が提示してくる高い価格を、可能な範囲で許容すべきだと思うのです。それを続けてると「高い場所」に自分の居場所ができますよね。
あ、結論が「ギブ・アンド・テイクについて考え方を整理する」に似てきた…。
僕、こんなことばっか考えてるんでしょうね。

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