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50代半ば、フリーランスのWebデザイナーが考えていること

2019.01.31

こんにちは、萩ドットライフ()です。

このブログ内で、自身のバックグラウンドをお伝えするために「50代半ば、フリーランスのWebデザイナーです」という自己紹介文を挿入することが多々ありますが、なかなか「年齢×職業」のことについては考えたことがなかったかな? と思っています。

仕事のことや働き方、生き方について記事を書くことが多いのですよ。
50代半ばの今。「セミリタイア生活はじめた」とか「二拠点生活してる」「完全リモートワークしてる」「クライアントワークやめたい」「何かの初心者になりたい」みたいなことを考え続けているし、実際に行動し始めているので、それを記録しているからということもありますし、匿名で書いているので、どうしてもプライベートのことは避けがちになるんですよね。

何度も「50代半ば、フリーランスのWebデザイナーです」と自己紹介している割には、Webデザイナーという職業について書いてこなかったな、と思いましたので、今回は職業のこと。また、年齢のことについて書いてみようかと思います。

たぶん断片的にはいろんな記事中で書いているのですよ。ただ「まとめてひとつの記事にしたことがなかったな」という意味です。
毎日このブログにアクセスしてくださる方は「それ、何度も読んだよ」なのかもしれません…。

僕の立場は「そろそろ辞めようかな」です

僕はもともとグラフィックデザイナーでした。印刷物を作っていたのですよ。
フリーランスになったのが1997年。僕が30代の半ばなのですが、そのあたりから「Web面白そうだな」と練習をはじめ、なんとなく仕事になり始めたのが、90年代の終わりくらいからですね。
途中、舞台公演のプロデュースなどをやっていて、デザイン業そのものから離れていた時期もありましたし。
(参考:Webはチャチくてダサかった

なので、Webデザイナー歴は約20年ってところですね。

「50代 Webデザイナー」とかでググると、転職系やセミナー系の情報サイトがいっぱい出てきて「50代からWebデザイナーを目指すのは充分可能!」みたいな記事がいっぱい出てきますが、このことについては特に言及しません。

僕は今「この仕事、そろそろ辞めようかな」と思っているのですよ。
年齢が50代であることも無関係ではありませんが、将来設計を考える上で「ずっとこの職業ってワケにはいかないな」と考えているからなのです。

僕のバックグラウンドを補足すると「食えていない」から辞めようとしているワケではないのですよ。
むしろ、運良く恵まれたポジションにいると思っています。

おそらく企業名を言えば多くの方がご存知だと思われる、某財閥系の不動産デベロッパーがメインクライアントで、もう20年来のお付き合いなのですよ。
つまり、僕がWebデザイナーになってすぐに取引が始まり、今まで続いているのです。

取引口座は、制作会社経由から広告代理店経由になったり、案件ごとの直接発注から、指定業者にしてもらった上で、指定広告代理店の再委託先として指名されるという形になったりと、いろいろと取引形態は変わっていますが、途中2年間の戦力外期間を除いて、ずっと安定した取引をしていただいています。

収入面でも、Webデザイナーになって3年目には、東京23区内にマンションを購入していますし、同世代のそこそこ頑張ってるサラリーマンと比較しても見劣りすることはありませんでしたので、まあまあ恵まれてるとは思います。
「でした」と過去形なのは、完全リモートワークを実現するために、間にディレクターを立てたり、セミリタイア生活をはじめ、仕事量を激減させているからです。

「安定的に受注できる」「収入にもそこそこ恵まれている」。でも「そろそろWebデザイナー辞めようかな」と思っているし、そのように行動し始めているのが、僕の立場です。

Webデザイナーって、加齢とともにキツくなる職業だな

「そろそろWebデザイナー辞めようかな」は、あくまでも、僕個人が考えていることなのですよ。
50代にしてWebデザイナーを目指す人や、これから50代に突入する同業者を批判したり揶揄する目的でこの文章を書いているのではありません。
皆それぞれに人生設計がありますので「僕はこう考える」ってだけなのです。

僕は「Webデザイナーって、加齢とともにキツくなる職業だな」と思っています。
おそらく

  • 若い人によって構成されている
  • 技術の進歩が頻繁に起こる

あたりに原因があるのだろうと考えています。
とにかく「活きがいい」のですよ。

まず、僕は同年代の同業者に会ったことがありません。
僕は、とくに業界全体を見渡す立場にいるわけでもなく、黙々と案件をこなしていくプレーヤーなので、それほど視野が広いわけではありませんが「みんな20歳くらい年下だな」「30代くらいがメインプレーヤーかな」って印象を持っています。

実際に、僕も30代後半くらいから40代前半くらいがピークでしたね。
「ムリが効く」「新技術に対応できる」「ネバれる」みたいなことを複合しつつ、一番パフォーマンスが高かった時期だったように思います。
そのころは「80歳になっても、この仕事続けるぞ」って思っていました。

50歳を超えたくらいから、技術のアップデートがキツく感じるようになってきましたね。
毎日のようにいろんなWebサイトを業者目線で見ていますし、情報は入ってくるので、知識はアップデートされるのですよ。
でもそれを自分で実装したり、動かすための技術を習得するのが億劫になってくるのですよ。
関わりを否定したいがために、デメリットを挙げたり、実装しなくて済む方法を提案する言葉はたくさん思いついたりするのですが、結局クライアントからの要求に抗い切れなくなっちゃうんですよね…。

Webデザイナーって職業、これかからも残る?

Webデザイナーを名乗りはじめた20年前くらいのこと「コーディングって、デザイナーの仕事?」などと思っていましたし、口にもしていました。「ここは分業されるべきでしょ」と。
半分正しくて、半分間違っていたかな、と思っています。

「この場面で、どういう技術を実装すれば、どういうパフォーマンスを提供できるか」みたいなことが実感できないとデザインができないのですよ。
同時に、デザイナーが個人であらゆる技術に関する知識を網羅することも、手を動かして実装することもムリなのですよね。

そういった観点から「Webデザイナーって残る?」と考えたときに、僕は「個人でやってる人はキツいかな」と考えています。

大規模なWebサイトは、大きなプロダクションが複数人のスタッフを集めて開発するようになるのだと思います。
今も、そういう傾向はあります。が、さらに「チーム化」が進んでいくような気がするんですよね。
そうなると、どうしても「組織への所属」が前提になるように思うのです。もちろん、その形態が「従業員」だったり「外注のフリーランス」だったりという違いはあるのでしょうけどね。

反対に個人のWebデザイナーが受け持っているような案件って、AI化(という表現が適切かどうかわかりませんが…)され、ユーザーの手に渡っていくような気がするのですよ。

今の僕がやってるような、

  • そこそこの規模のサイトを
  • なかなかウルサイクライアントの要望を折り込みつつ
  • いろんなルールに従って
  • 各社・各関係部署の意見を尊重しながら

組み立てていくような案件って、どちらかに吸収されるような気がするんですよね。
おそらく、その過程として「特殊な領域。ブラックかつガラパゴス」な状態を経るように思うのですよ。

一時的には、それに特化した人材が重用されるタイミングがあるでしょう(今もそんな感じかな?)が、あと20年続くようなものではないと考えているのです。

だから、僕は「Webデザイナー、そろそろ辞めようかな」と思っているのです。
でも、Webサイトは作り続けますよ。自分で好きなものを作って、運用したいのです。

今は「Webマーケティング」とか「Webライティング」に興味をもっていて、だからこうしてブログを書いているのですよ。
「50代にもなったし、クライアントワークとしてのWebデザイナーをそろそろ辞めようかな」なのです。

こういう考え方ができるのも、20年間Webデザイナーでメシを食ってこれたからってことなんですよね。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。