サラリーマンとフリーランス。どっちがいい?
2019.04.21
こんにちは、萩ドットライフ(
)です。経団連会長が「終身雇用を続けていくのは難しい」と発言したことが話題になっています。はるか昔、僕もサラリーマンだった時代がありますので、そのころを思い出しつつ、サラリーマンとフリーランスの違いについて、思うところを書いてみようと思います。
話題になっている経団連会長の発言は下記です。Yahoo!ニュースの記事なので、期間が経過すれば削除されますので、ご了承を。
【経団連会長 終身雇用守れない】2019/4/19(金)
経団連の中西会長は、企業が今後「終身雇用」を続けていくのは難しいと述べ、雇用システムを変えていく方向性を示した。大学側と経団連が議論した結果を、来週公表する予定。
出典:Yahoo!ニュース(2019年4月21日現在)
僕は50代半ば。大学卒業後から10年間サラリーマンを経験し、30代半ばでフリーランスになりました。フリーになった当初はグラフィックデザイナーでしたが、途中で舞台公演のプロデュース業を経て、現在はWebデザイナーです。
半年くらい前に、新規案件の受注を停止し、セミリタイア中。
すべての運用案件がクローズするタイミングをもって、いったん無職になって1年以上の長期休暇を取る予定です。
そのタイミングで、Webデザイナーをやめるつもりです。
「なんとなくフェードアウトしようとしている、フリーランスのおじさん」が、今の僕の立場なのです。
以前、
という記事を書いているように、僕は「フリーになってよかった」と思っていますが、他人には「やめといたほうがいいんじゃない? サラリーマンのほうが安定してるよ」ということが多いのですよ。
前提として「フリーになるヤツは、誰に止められてもなる。そもそも、誰にも言わずに勝手になる」「相談してくるやつは、ならないヤツ」と思っているからなのですよ。
今回のニュースで「終身雇用守れない」という発言を聞き、僕が会社勤めだったころを思い出したり、フリーランスになる過程、またなってから考えたことなどを、懐かしさをこめてまとめて見ようと思います。
「日曜夕方の憂鬱」は、フリーランスになってからも
今「サザエさん症候群」なんて言います? 僕がサラリーマンだった平成ひと桁くらいのときには、そういう言葉があったのですよ。
今でも(東京では)フジテレビで毎週日曜よる6時30分から放送されてますね。
サザエさんを観ながら「土日の休みが終わって、明日からまた仕事か…」と憂鬱になるという症状ですね。
これ、サラリーマン特有の現象だと思っていたのですよ。「フリーに営業日という概念はないから、なんなもの関係ない」と。
事実、フリーになって10年以上、そのとおりでした。曜日なんか関係なかったのですよ。
俗に言う「セルフ・ブラック」でしたし。
それが、40代後半でパニック障害を発症して「土日くらいは、きちんと『休む日』だと認識しよう」と思うようになったことで、再び曜日の感覚が蘇ったのですよ。
また、メインクライアントの事業の特性上、受け持ち案件の更新依頼が月曜日に来ることが多いことも「ああ、明日は月曜日か」と思う理由のひとつですね。
とはいえ、通勤しないし、「職場のみんな」と呼ぶべき人たちもいないので、サラリーマン時代よりは遥かに気楽ですけどね。
フリーランスは「セルフ・ブラック」になりがち
「セルフ・ブラック」というのは、自分で勝手にブラック企業なみの働き方をしちゃうことなんですが、フリーランスはこれに陥りがちなのですよ。
僕もずっとこれでしたね。暇に対する恐怖がありましたから。
〆切や公開に向けて、ずっと細かいことを気にし続けるのが、デザイナーの特性なのですが、「就業時間」「営業日」という概念がないので、ギリギリまでやり続けることになりがちなんですよね。
また「盆暮れGWはラボ」というタグを付けた記事を何本か書いているように、暇があれば、なにかしらの技術に関する習得・学習をすることが趣味みたいになっちゃってたのです。
もちろん、サラリーマンにも忙しい時はありました。「徹夜仕事」なんてこともありましたが、僕が勤めていた職場では例外中の例外でしたね。
そもそも、夜8時を回っても職場に人がいることが例外でしたから。ホワイト企業だったのですよ。
毎日決まった時間に「今日の仕事、ここまで」というタイミングがありました。
また、当時は「個人のMac」を持っていなかったので、仕事の持ち帰りなんてこともありませんでしたね。
フリーランスは怒られない
フリーランスのデザイナーの場合、向き合ってる人は「クライアント」「広告代理店」「制作会社」くらいのもんですね。
サラリーマンとの大きな違いは「上司」がいないのですよ。
ときどき「若いフリーに対して、上司的な振る舞いをしている代理店のヤツ」みたいな構図を見たこともありますが、僕の場合、20年前にWebに軸足を移したときから「まわりがみんな年下」みたいな状況でしたから、そういう体験はしていません。
仕事に対する「不満」や「要求」「希望」はありますが、「怒られる」ということがないのですよ。
そのかわり「上司にリカバリーを頼む」こともなければ「上司に楯突く」「上司の覚えめでたい」なんてこともないのです。
フリーランスは、そういうのをすべて自己責任でやらなければならないのですよ。
前述の「クライアント」「広告代理店」「制作会社」という、関係者の満足度がすべてです。
「取引先を1社に絞ると、その会社に生殺与奪の権を握られるので、取引先は複数持つべき」というのが一般的に言われていることです。
僕も賛同します。ただ僕の場合は「快適な方へ」「収集力が増す方へ」「業務管理がしやすい方へ」流れていった結果「メインクライアントに集中する」という方法を取ったのです。
結果、そこそこ上手く行ったので「これもアリだよね」と思っています。
(参考:結局「取引先の分散」なんてしなかったな)
月給ってすばらしい!
サラリーマンをやめて、身にしみて思うことは「月給って、なんてありがたいんだ」ということなのですよ。
成果がシオシオだったとしても、毎月決まったお金がもらえるのです。体調が悪くて休んでても、有給休暇というシステムがあります。
額の多寡は別として、サラリーマンの経済的な安定性って、フリーランスになってはじめて身にしみて感じましたね。
フリーランスになったばかりの頃って普通に「今月の収入ゼロ」とかありますから。
逆に、成果が収入に直結するという利点はあります。
結局、サラリーマンもフリーランス一長一短なのですよ、身も蓋もない結論にしかならないのです。
大雑把に言えば、
- サラリーマンは生活は安定するが、他人に管理される
- フリーランスは生活は不安定だが、あらゆることを自己決定できる
ってことですね。
どちらにも、それなりのトレードオフはあるものなのですよ。
サラリーマンの「安定」が崩れかけてる?
そこで、今回の「終身雇用守れない」発言ですよ。
終身雇用と年功序列ってセットなんですよね。終身雇用を前提として、年次が上がるほど収入が多くなるというしくみ。
これがあるから「サラリーマンの方が安定してて、いいよ」って言われてきたのですよね。
だから、会社に不満があっても、人間関係に問題を抱えてても「定年までは」と、サラリーマンであり続ける人が多いのだろうと思います。
(僕は、フリーになったので「思います」としか言えないのです)
その安定が崩れかけてるってことですよね。
とはいえ、僕が社会人になる30年以上前にすでに「同じ会社にずっと居られるなんて思うな」みたいな論調はあったのですよ。
それは、
- どんな大きな会社でも潰れるかもよ
- 今やりたいことが10年後のやりたいことじゃないかもよ
そして、
- 終身雇用なんて習慣、そんなに長く続かないよ
ということも言われていたのですよ。
事実、中小零細企業では、法律関係なく「解雇」って行われて来てましたよね。
最近SNS上で「フリーランスのススメ」的な言動をよく目にします。
前述のように、僕は他人に奨めることはありませんが、トレンドとしては賛成します。
サラリーマンとフリーランスって、決して対立概念ではないし、不可逆的なものでもないと思うのですよ。
サラリーマンの特徴である「安定性」が崩れていく一方、フリーランスの不安定性は解消される好機だと思うのです。
人生のバイオリズムの中で、企業人として雇用主に利益を提供しつつ安定した生活を送るフェーズがあってもいいし、フリーランスになって、自己裁量の中でガシガシ収益を上げてもいいし、最低限の収入を得つつユルユルの生活をおくる時期があってもいいと思うのです。
そして、またサラリーマンに戻ってもいいし、サラリーマンとフリーランスを掛け持ちするパターンもあっていいと思います。
流動性が高いほうが、幸福度は高まるんじゃないでしょうかね。
向き不向きはあるのでしょうが、どちらかに決めることもないような気がするのですよ。
いろんなことをやってみて「イヤなことを長く頑張る」事があってもいいでしょうし、「違和感あるからやめる」でもいいんじゃないでしょうかね?
僕のように「天職だ」と思った仕事に出会ってたとしても、20年後には違和感を感じ始めるし、「なれなかった自分」を想像しちゃうものなのですよ。
「自分には、まだもうひとつあるぞ」などと思い始めるものなのです。
以前「大丈夫。すべては「ままごと」から始まってる」で書いたように、いくつになっても「中二病」を発症し続けるものなのです。
いつまでも「なりたいもの」「向いてるもの」「好きなこと」を求め続けるのですよ。
最初から「終身雇用」なんて当てにしないほうがいいし、人生を企業に委ねるべきではないと思っているのです。
だから僕は「終身雇用守れない」発言は歓迎です。
「サラリーマンになったり、フリーランスになったり」を含め、自由に職業や働き方を選べて、「集中してハードワークする期間、ダラダラに怠ける期間」も自由に設定できたほうがいいと思うのです。
当然、どのように練度を高めるのか? どういうポジションを獲得したいのか? も、個人が自由に設定できるべきなのです。
だんだん、サラリーマンとフリーランスの境目がなくなりつつあるのかもですね。
生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。