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人の縁、そして恩

2019.08.18

こんにちは、萩ドットライフ()です。

人の縁や恩なんて、どんな人にでも関わりがあるものだと思うのですが、僕はずっとフリーランスとして生きて来ましたから、その視点で「縁」と「恩」について語ってみることにしてみます。これらによって生かされ、そして、縛られ苦しんできたのです。

フリーランスを生かすもの

昨日「好きなことを仕事にすると辛い? 30年続けてみた」という記事を書きながら、ぼんやりと解像度低いまま頭の中に浮かんでいて、結局言及しなかったことがあるのですよ。

それが今回書こうとしている「人間関係」についてなのです。

人間関係については、このブログ内でも「人間関係の断捨離」というタグをつけた記事を書いていますように、いったん群れから離れようとしているのです。

それは「縁を切ろう」とか「裏切ろう」というわけではなく、距離感を補正したいと思っているのです。

「フリーランスは実力の世界。環境の変化に対応できなければ、即退場」なのです。それは間違いないのですが、フリーランスでメシを食ってる人なんて、みんなそのくらいできるのですよ。

10年も20年もメシを食い続けるためには、どうしても「人間関係」が必要になってくるのです。
会社のように「○○部△△課」みたいなものはありませんが、なんとなく群れ(=グループ)的なものはできてくるのですよ。
関わり方は様々です。ひとつのグループの中にガッシリ存在していて、飲み会を手配したり、若い人の面倒を見ているような人もいますし、複数のグループにちょっとずつ顔を出してるような人も。

もちろん、そのときの状態によっても、関わり方は変わってきます。

結果的に、そのグループ内で仕事が回っていくんですね。
当然グループ内での新陳代謝もありつつではありますが、そこに加わっているフリーランスの職業寿命を担保してくれるのですよ。
当然、いろんなパターンがありますので、あまり話を広げすぎると、閉じられなくなってしまうので、この辺で…。

割とプライベートな付き合いも、このグループ内でできることが多いのですよ。
お互いのスケジュールを把握しているし、そもそも「気が合ってる」というのが前提ですからね。
僕はずっと避け続けて来ましたが、一緒に旅行に行ったり、お金出し合って別荘を買ってた人たちもいましたね。

フリーランスを縛るもの

グループ全体のレベルだったり「あのチームには、この人がいる」みたいなことも関係するのでしょうが、運良く「いいグループ」に属することができると、仕事がひっきりなしに来たりするのですよ。

僕は20年間のフリーランスのデザイナー生活、「ホントに運がヨカッタ」と思っています。
「上手く、いいグループに加わり続けることができた」からなのですよ。
例外はありますが、ほぼ仕事が切れませんでしたからね。

ところがですね、この「仕事が切れない」ことが、苦痛に変わることもあるのですよ。

仕事は、誰かの「縁」でやってきます。
そうすると「ちょっと今、手一杯だなあ」とか「ありがたいけど、なんとなく気が向かないなあ」というときに断りにくいのですよ。

もちろん「気の向かない仕事を断れないのって、嫌だよね」という認識は共有しているのですが、どうしても「あの人からの仕事、断っちゃうと悪ぃなあ」という案件というものは、やってくるのですよ。

そして、虫の知らせ通り「地雷案件」だったりします。
「縁」が「恩」に変わり、「恩」に縛られ苦痛を感じちゃうことって、あるんですよね。

当然、一度や二度じゃありません。

ただ、僕は前述の通り「運よく、いいグループに関わり続けることができた」のです。

地雷を体験すると即座に「次からは、この案件断ろう」という共通認識ができますし、その案件を断ることによって、仕事量が減って収入が得られなくて困るという事態に陥ったことはないのです。

運用の途中で「もうこの案件のお手伝いを継続することはできません」と降板した案件もあります。

「断る」「辞める」は裏切りじゃない

「せっかく紹介してもらった案件だから」と、恩に縛られて苦しい思いをし続けることはないのですよ。
「これダメだ」と思ったら、途中で降板すればいいのですよ。

話が来たときに「ん? なんか臭うぞ」ってときってありますよね。
そんなときには、躊躇なく断っていいと思うのです。

とはいえ、駆け出しの頃や、不調に陥ってる、仕事のないときだったりすると「仕事を断る」なんて選択肢がなかったりしますけどね…。
そのときは、辛い思いをしても、生活することを優先するしかありませんよね。

そういった前提条件はありますが「断る」「辞める」は決して裏切りではないのですよ。
案件を紹介してもらった「恩」には感謝しなければなりませんが、なぜ「断る」「辞める」という決断に至ったのかという考え方を共有するのも「恩」のうちだと思います。

もしそれで、ヘソを曲げられて切れてしまう「縁」ならば、切れてしまったほうがいいと思うのです。

僕はもう2・3年前から「セミリタイアするから、新規案件は請けないよ」と宣言してきました。
「酔っぱらいのたわごとだ」とか「思いつきの冗談だ」とか思われて、まともに受け取ってもらえなかったり、「指名で頼まれてるので、なんとかこれだけは」などなどありまして、現実的に最後の新規案件を受注してから1年程度しか経っていませんが、少しずつ「人の縁」が整理され始めたような感触があります。

冒頭で述べたように、僕は「距離感が補正されて快適だ」と思っています。

そもそも仕事で始まった「縁」なので、仕事を辞めることで切れるのは、なんの不思議もないんですよね。
でも「恩」はいつまで経っても残り続けるのですよ。
「恩」を忘れなければ、またどこかで「縁」は繋がる、そんな気がしているのです。

生まれた街「萩」の小さなひとつに還ろう。