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50代のWeb制作者ってもう限界だな、と思った話

2019.09.19

こんにちは、萩ドットライフ()です。

50代でWeb制作に携わっている人は、間違いなくキャリアスライド経験者なのですよ。だって、社会に出たときにWebなんてなかったんですから。「一生この仕事で食っていく」派ではないのです。そろそろ次の景色を見たくなってるはずなのです。

物忘れがヒドかったのです

先日、久々に仕事仲間との飲み会に参加してきたのですよ。
先日投稿した『飲み会で「田舎暮らし」について語ったら、考え方を補強された』で書いた、その飲み会です。

クライアントの元広告部門の人も来られていたので、会話の内容は仕事の話題も多かったのです。

ところが「誰だっけ、あの案件のときの代理店の担当者、元〇〇を担当してて途中から交代した…、ダメだ名前出てこない」「なんて会社だっけ、あの元リクの人が社長やってて、メディアとかにも顔出してる…、ダメだ名前出てこない」みたいなことが甚だしいのです。

僕、昔から名前覚え得意な方だったのですよ。
会議とかでも、もらった複数の名刺を机の上に並べずにケースにしまった上で「○○さん」って、ちゃんと個人名を呼ぶ、みたいなことを意図的にやってた時期もあります。

以前なにかで一緒に仕事をしたことがあるくらいの方と廊下ですれ違ったときでも、できるだけ「あ、○○さん、ご無沙汰です」みたいな挨拶の仕方をしてました。

これがさっぱりなのですよ。まったく引き出しが上手く開いてくれないのです。

ずっと「誰だっけ? 何だっけ?」って言っていました。
そして同席していた、Web制作会社の社長も、同じ現象にハマってたのですよ。

たぶん、加齢だけが原因じゃないぞ

僕が今、50代半ば。制作会社の社長が僕よりも10歳若いはずなので、40代半ば。
物忘れがヒドいのは、加齢による影響を無視することはできません。

僕なんて、ブラウザで新規タブ開いた直後に「あれ? 何見ようとしてたんだっけ?」なんてこともありますからね。これは明らかに老いですよね。

ただ今回の「物忘れがヒドい」問題は、同時に「これまでやってきた仕事に対する興味を失ってる」問題でもあると思っているのですよ。

僕と、その制作会社の社長(以降「社長」)は、1990年代の終わり頃、Web黎明期にほぼ同時にWebに関心を持ちはじめ、僕はWebデザイナーになったし、当時、某大手マンションデベロッパーの従業員だった社長は、積極的にプロモーションにWebを活用し始めていたのですよ。

実際に会って一緒に仕事をするようになるのは、それから数年後、社長がマンションデベを退職して広告代理店に転職してからなのですが、その当時からお互いの存在は知っていました。

そして今、このブログの主要テーマにしているように、僕はWebデザインの仕事を辞め、セミリタイア生活を送っています。

社長は、まだWeb制作会社の社長ではあるのですが、実家が神奈川県某所で、不動産業をはじめとした、いろんな事業をやってる会社を経営しているので、その会社を承継し、彼も二拠点生活をしているのです。
聞くとどうやら、神奈川の会社の方が、解決すべき問題は多そうなのです。

お互い、次のステップに進んでるんですよね。

だから、これまでの約20年弱、一緒に組むことが多かったWeb制作の仕事が過去のことになりかけているのですよ。
なので、うまく記憶を引き出せない現象がおきたんじゃないかな? と推測しています。

「ひとつの仕事に一生をかける」なんて思っていない人たちの群れなのです

社長はまだ40代なのですが、後半に差し掛かっているので、僕と同じ「50代」ってことで話を丸めましょうか。

今50代の人がWebに出会ったのって、社会人になってからなのですよ。

1990年代前半から学術的な研究はされてたし、学校で教材として触れた人(社長は「大学でMosaicを触った」って言ってましたね)はいたのでしょうが、実社会で使われるのはもっと後、Windows 95の登場で話題になって、一部の人が「会社のホームページを立ち上げよう」みたいなことをいい出したのってWindows 98にIEがOSの一部として標準搭載されたころだと記憶しています。

なので、50代でWeb制作の現場にいる人は、間違いなくはキャリアスライドしているのです。
しかも、海のものとも山のものともわからない、おもちゃみたいなものに飛びついている人なのですよ。
(参考:Webはチャチくてダサかった

中には「会社の命令で仕方なく」という人もいるのでしょうが、多くは新しく興味をもったものが気になって仕方ない一群なのです。
またすぐに「次の何か」に興味を持っちゃうと考えるのが自然ですよね。

僕が50代半ばの今まで20年間も続いたのって、よく持った方だと思います。

もちろん、Web制作の仕事に携わられて日の浅い50代の方もおられるでしょうから、一般化できる話ではありませんが、僕たちWeb黎明期にこの業界に携わった者は、そろそろ限界なのです。次の何かを始めたくて仕方ないのです。

「ひとつの仕事に一生をかける」なんて思っていない人たちの群れなのですから。

これから先もずっと「Web制作という仕事は50代が限界」という話ではありません。
今50代でWebに携わってる人は、そういう傾向の人が多いんじゃないかな? 少なくとも自分はそうだな、という話です。
実際に「Webデザイナーやめる」「長期休暇取る」とか言ってるし、そうしてますから。

今の若い人たちは、おそらく学校でWeb制作に関するあれやこれやを学んだ上で、社会に出てきている人が多いのでしょうから、そういう人たちの何人かは、この仕事がある限り携わり続けることでしょう。

能力的に、仕事を得続けることができるかどうかは、また別問題ですけどね。

僕に限って言えば、Web制作の仕事が嫌いになってきたワケじゃないのですよ。
そりゃ、加齢によって「新技術を取得するのがシンドくなってきたな」とか「なんとなくバテてきたな」とは思うのですが、好きではあるのです。
なので、クライアントワークとしてのWebデザイナーは辞めても、情報発信用のツールとしてなんだかんだ作り続けるつもりではいます。
(参考:デザイナーは引退しても、デザインは続けるよ

それよりも、次の景色を見たいという欲求の方が勝ってきているのです。

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