体調悪いアピール、しにくいですね
2020.05.16
こんにちは、萩ドットライフ(
)です。「ちょっと風邪気味でさ」とか「熱が引かないんだよね」みたいな、体調悪いアピールって、ちょっと前までは「便利に使える話の糸口」みたいなものでしたよね。それが最近、ちょっと憚られるようになっている感じです。早く元に戻るといいいですね。
「体調悪いんだよね」ってアピール、しにくくなりましたよね
YouTube動画を観ていると、収録中に咳き込んだ演者が「大丈夫です。コロナじゃないはずなので」と、言っていました。
各自が自宅もしくは、自分のオフィスにいながらZoom上で政治や経済のことを語り合うようなコンテンツだったので、司会者を含めみんな大人。変な茶化しが入ることもなく、淡々と進んでいきました。
まだ緊急事態宣言が出される少し前くらい、コンビニで買物をしていると、中学生くらいの男の子が二人でお菓子や飲み物を物色していました。
ひとりが「オレ風邪かも。咳、出るんだよね」と言うと、もうひとりの子が「うわ〜、お前コロナじゃん? それ絶対コロナだよ」とはしゃぎ始めたのですよ。
ちょうど、テレビのワイドショーの話題になりはじめて「コロナ」というワードがちょっとしたはやり言葉になりかけてたんでしょうね。
ちょっとしつこいくらいに「コロナ、コロナ」言いながらはしゃいでるのですよ。
たぶん「自分は面白いことを言ってる」という気分になってたのでしょう、そんな感じでした。
言われたほうの子は、顔を赤らめながら「お前、そういうこと言うなよ」と、ものすごくイヤそうな表情をしていました。
なんとなくわかります。
「世間がコロナで騒ぎ始めてるのに、公共の場でそういうこというの、不謹慎だよ」という意味と「お前、自分で面白いと思ってるんだろうけど、クソつまんねえぞ。はしゃぐなよ」という意味が混ざり合って、ものすごくいたたまれない気持ちになるんですよね。
事実、僕と目があったその「言われてる」子は、ものすごく気まずそうでした。
一緒にいるやつがつまんないことをしてると、自分も「つまんないチームの一員」として見なされてられているような気がして、ものすごく恥ずかしくなってしまうものなんですよね。
大丈夫。それを目撃した、このオッチャンも、同じように恥ずかしさを感じたのだから…。
咳をして「コロナじゃないよ」と否定する大人も、友人を「コロナ、コロナ」とからかう子供も、どちらも嫌な気分になる話ではなくて、どちらかというと「微笑ましい話」の範疇に入るものだと思うのですよ。
だけども以前より「なんか体調悪いんですよね」とアピールすることが憚られるようになってやしませんかね?
気を使いすぎじゃありません?
先日も、マンションでエレベーターで一緒になった方が、何度か「くぐもった咳」をされ、息を整えたあとに、とても小さな声で「申し訳ありません」と。
たぶん公共の場で、近くに人がいるのに咳をするという行為が、とても「悪いこと」だというふうになってるのですよ。
だから「ここで咳き込んではいけない」という気持ちが「くぐもった咳」を生んでるのですよね。
さらに、エレベーターのような狭い空間で他人に話しかけることも、あまり良くない行為だということになっていますね。
事実、エレベーター内での会話が以前より明らかに減っています。
みんながマスクをしているせいもあるんでしょうけどね。
だから「こんな狭い場所で声を発しては失礼」という気持ちと「自分が咳き込んだことを詫びなければ」が混ざり合った上での「とても小さな声で『申し訳ありません』」だったと思うのです。
僕は正直「いや、そんなに気を使う必要ないでしょ」派なのですよ。
マスクをしてなくても、至近距離で会話しなければ大丈夫だろうし、エレベーター内のような狭い場所では会話を控えるくらいで十分だろうと考えるのです。
でも同時に、少々過剰な警戒も、健康に対する意識の高さによるものなのかな? だから日本では欧米と比較してパニックを抑えられているのかな? とも考えるのので、一部の論者のように「そんなの大袈裟すぎでしょ」という立場を取ることにも戸惑いを覚えます。
結局「思い思いでいいんじゃない?」と考えているのです。
自分と違う考え方で行動している人とは距離を取ればいいのですからね。
おそらく僕は、みんなが同じように高い水準の警戒態勢をとっていることが、ちょっとだけ気になっているのですよ。
上手い言葉を編み出すことができなくてモヤモヤしているのですが、前項の「つまんないことではしゃいでる中学生」と似たような感じを受けるのです。
誤解なきように念を押しますが「警戒態勢を取ってる」ことを「つまんない」と感じてるわけじゃありません。
「え、みんながみんな同じ警戒態勢?」から僕の中で醸成される感情と「え、いまここでそんなノリではしゃぐ?」から醸成されるそれが「似ている」のです。
「この感じ、わからんでもないけど、正視するのキツいなあ」ってところでしょうかね。
前者に関しては、僕自身も同じスタイルですしね。
背中のあたりがちょっと、サワサワっとする程度なんですけどね。
もともと、体調悪いアピールが好きじゃないんですけどね…
「なんかちょっと体調悪いんだよね」っていうアピール。
これまでは、自分の体調を他人に伝えたいように見せかけつつ、実は会話の糸口だったりしましたよね。
「そりゃ良くないね、ちょっと疲れてるんじゃないの? 流行ってるらしいよ、風邪」みたいな定型文の往復を経た後に「そういえば、あの件さ」みたいな本題に入る前のワンクッションだったんですよね。
その中にちょっとだけ「オレの身体を気遣ってくれ」とか「いまどんな生活をしてるのか、興味を持ってくれ」みたいな承認欲求も含まれてたりね…。
体調悪いアピールって、こんな感じで便利に使っていいものだったはずなのですよ。
実は僕はそれが嫌いで、電話なんかでやられちゃうと「すみません、本題を」とか言って遮ってたんですけどね…。
でも今は「体調悪いって言うと、コロナを連想されちゃうかな」とか「望まぬ方向に話題が進みそうだな」と、余計な心配をしなくてはならなくなっていますよね。
それ以前に、みんなリモートワーク(テレワーク)をしてるので「最近、風邪気味でさ」から始まる会話もしてないんでしょうしね。
どうなんでしょ? 頻繁にオンライン会議をされる人たちって「最近、運動不足で肩こってさ」みたいな、上手にコロナへの連想を避けた「体調悪いアピール」を発明しつつ、会話の糸口に使ってたりするんでしょうかね?
前述のように、ちょっと前まで僕は「体調悪いアピール」する人に若干のウザさを感じていたのですが、最近はちょっと認識が変わってきているのですよ。
考えてみれば、みんな年に何回かは鼻水や咳が止まらなくなったり、熱が出たり、身体がダルくなったりってありますよね。
「最近、熱が出てダルいんすよ」って、何のためらいもなく口にできる日が早くくるといいな、などと思うようになっているのです。
そうなったらそうなったで、再び「こいつウザいな。早く本題に入れよ」と、感じるようになるのだろうと思うのですけれどね。
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